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──若い頃、例えば高校時代はどんな少年でしたか?
あまり勉強はしませんでしたね。いつもテニスをしたり、友達の家に泊まっていたような…。
──テニスをされていたということですが他には?
中学から劇団に入っていました。劇団では、いろんな事をしなければいけないので、小道具やセットも作ったり、脚本を書いたりしました。
──美学・美術史といった方面へ進まれたきっかけは?
高校時代からそれ以外考えてなかったです。室町時代の水墨画が専門の松下隆章先生が慶応大学におられたので、その先生の元で勉強したいと思い、他の大学のことは考えずに慶応大学に入ろう、と。1年間浪人しましたが、希望の慶応大学に入り松下先生の元で勉強しました。
大学3年の時、エジプトで百万近い中国陶磁の破片が出て、小山富士夫という学者が調査に行くというので、一度もお会いしたことのない人でしたが、鎌倉の家を訪ねて、「旅費は自分で出すので連れて行ってほしい」と頼み込んで行きました。渡航が大学の定期試験の時期で、でも落第したくはないので、「授業に出るよりもこの発掘の方が勉強になるんだ」と全科目の先生を説得して回ったんです。そしたら全員、成績をくれました。学校にいたら、もらえないような成績をね。友だちにはいっぱい落ちた人がいて、後で怒られましたよ。
──美術の道へ入ろうとした原点は?
中学生の頃、ルーブルの展覧会が西洋美術館に初めて日本に来た時、学校から行ったんです。そこで、クールベの「追われる鹿」という絵を観て、この絵は今でも忘れられないんですが、凄い絵を描くんだなと興味を持ちました。それと、母がくれた「世界旅行」という本。いろいろな世界の美術館や遺跡が載ってて、その本を見るのが大好きでした。
──現代美術全般については、どのようにお考えですか?
自分の本当の専門というのは「中国陶磁器」ですから、美術館へ行くと必ず中国陶磁を探しますけど、現代美術館にも足を運んでいます。何でも良いものは観てしまう方ですから。
西洋美術も工芸も絵画も彫刻も金工も、観て感動するものには感動します。「私は中国陶磁器が専門ですから他の美術は解りません」と言うのはおかしい。中国陶磁が良い悪いか解るのなら他の美術も同じだと思う、だから僕はそういう答えが返ってくるのが、いちばん嫌なんです。
また、伝統というのは伝統として大事なのですが、実際そんな同じ物ができるというのはおかしいのです。江戸時代の世界のものをいまだに作ろう、それは伝統をずーっと守る事も大事ですがそれは一つとして、ある面で正直に自分の気持ち、自分の世界でものを作ってほしいわけです。
今度、我々が作る美術館で、最初はわけのわからないものがいっぱい出て来てみんな仰天するかもしれないけれど、それを我々がどういうふうに対応していくか、となると大変です。もういっぱい質問が来て、でも、それが現代美術なんですよ。
21世紀になるといい世界になるんだと、それをただ期待するだけではダメ、「働く」って手を動かさなきゃダメなんです。口ばかりでなく、口を動かせば手も動かして自分で21世紀を作ってほしい、だから、この美術館がそういうお役に立てることが私の夢ですし、良い感性をこの美術館に来て養ってもらいたい。想像豊かに、この美術館に来てそういう気持ちを子供達に与えるのが我々の仕事だと思いますから、教育者として、自分の知ってることはみんなにシェアーしてそれで一緒に勝負したい。同じ知識でその中からどう生まれてくるかですよ。文句言う前に努力してほしい。
「こんなもの誰でも考える」と、結果を見るとやさしいように見えるんですよ。だけどそれを自分で編み出すということ、それを最初にやるというのが凄いことなんです。金沢21世紀美術館が、最初に子供たちを育てて10年後、すごい人間がこの金沢からいっぱい出る。それを我々が最初にやりたい、それでないと私がここに来た意味がありませんし、26年アメリカで学んだこと、大阪で9年、館長をやって美術館で学んだことを、この金沢で活かしたい。この小さな脳味噌ですけど入っている物をここ生まれ故郷の金沢でシェアーできれば一番良いなと思っています。
──21世紀美術館の友の会では何か特徴のある特典を考えて行かなければと思うのですが?
シカゴの美術館での経験から言うと、例えば、1年に1回でも良いので、館長を始めスタッフみんなで、会費を取ってもいいから、1年間サポートしてくれた人達にお礼のパーティをしたい。みんなで、スタッフとともに交わえる、そういう場を作りたい。レストランで10%引くという他の美術館にもあるのとは違う特典を、ぜひ、あなたたちで考えてほしい。
──21世紀美術館は庶民派、庶民的な美術館を目指すと言いますが、具体的にどう庶民的なのでしょうか?
あらゆる層、若年からお年寄りまで皆がここへ来て楽しめる美術館、別にお金持ちであろうが貧乏であろうが、自分達の税金ですから沢山払っている人もいるだろうし、何も払っていない人もいるかも知れないけれど、そういう人たちに、ここへ来て一日楽しんでほしい、ということなんです。
外見的にはカッコイイ場所にしたい。お茶を飲んだり、お食事をしたり、ここでデートもしてほしい。ここへ来ることがカッコイイ場所、そういう美術館にしたいと思っています。そして、地元の人たちには、自分の家の応接間のように使ってもらいたいですね、この美術館を。
(インタビュー書き起こし=木澤/本記事編集=春木)
(インタビュアー:木澤・矢津・鎌田・木村・川北)
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