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●越後妻有トリエンナーレツアー視察
▽会報誌より
今回で2回目を迎えた 「大地の芸術祭トリエンナーレ2003」が新潟県越後妻有6市町村を舞台に7月20日から9月7日まで開催しているということを知り、私たちripple21はマイクロバスを借りて8月23・24日にツアーを組み、この展覧会を見に行ってきた。
このトリエンナーレの最大の魅力は〔過疎〕、〔農村・山村〕、〔お年寄りが多い〕、〔封建的〕という地域性のあるところに正反対ともいえる〔都市または外国〕から来た〔芸術家〕が妻有という風土の中で作品を創り、それを支えたボランティアが〔都会から来た少し風変わりな若者〕と地域住民が協働し、運営したことにあるのではないかと思う。それは、まるっきり違うカルチャーを持つ者が同じ目的のために汗を流し、その過程で生まれた摩擦をうまく昇華させていったことで生まれた新しい芸術文化だった。
作品の多くは妻有の自然やそこに住む人たちの生活を背景に創られている。そしてその運営をしているのは、私たちが美術館で見かけるような学芸員ではなく、都会から来た若者や地域に住む普通の人たちである。私たちが美術館に行くと鑑賞する人と作家やそこで働く職員の間には見えない壁のようなものが存在する。しかし、この展覧会ではそのような壁は無い。ここでは「暑いですね」とか、「どこから来たんですか」などの何気ない会話をきっかけとしてモノを創る者と運営する者と鑑賞する者の間に奇妙な結びつきの感覚が生まれる。受付には都会から来た学生らしき女性や近所に住んでいるおじいさんが座り、その辺の子供たちも大人たちのまねをして手伝っている。おまけに冷たい麦茶や漬物がふるまわれ、作品の制作過程や作家のことを嬉しそうに話してくれる。日本の美術館では威圧的な建物の中で静かに個人で鑑賞しないといけないという雰囲気があるが、この展覧会では妻有の日常生活の場でいろんな人とコミュニケーションを交わしながらアートを体験することができる。しかも200を超える作品はその作品が設置されている場所のためのもので、統一的なテーマを持たなくても個々の作品には妻有の自然や人、そこでの生活が根底にあり、まさしく大地で作品群がつながっていた。そしてこの展覧会はホワイトキューブで仕切られた美術館では発信できないようなとても大きなパワーを持ったメッセージを発していた。次回は2006年に開催される予定だが、今度はこの展覧会が生み出した可能性をどんな風に発展させていくのか大いに楽しみにしている。(木村)
▽以下、ripple21のメーリングリストへの投稿より
●田中竜也
こんばんは。田中です。
遅くなりましたが、妻有ツアーの感想です。
妻有トリエンナーレの具体的な内容は、他の皆さんが十分話されたようなので割愛します。
印象に残ったのは、ボランティアの方が、とてもやりがいを感じている様子だったことです。
当事者から「ボランティアの枠を超えている」なんていう発言もありました。
美術館の活動でやりがいを感じられる、といえば、月並みかもしれませんが、作品や館内のガイドでしょうか。
案内所や図書コーナーの案内、ツアーガイドなどのことです。
アメリカの地方の美術館では、団体の小学生を前に、年配の女性がうれしそうに作品を解説する姿をちょくちょく見かけました。
日本では胸にバッジでもつけないと、職員と間違えられそうですが。
ボランティアが、友の会の活動にどう関わっていくのかは分かりません。
ただアメリカと違って、教育専門の学芸員が少ない現状では、華やかなイベントというわけではないですが、館内の案内やワークショップのお手伝いをするだけでも、市民同士、美術館を通して対話する第1歩になる気がします。
最後に美術館と準備員の皆さま、貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
●松本織絵
こんばんは。松本です。
日曜なのに雨・・・本格的に秋ですね。この時期にこんなに寒いなんてありえません。
先日行った越後妻有トリエンナーレでの、酷暑が懐かしい気がします。
2日にわたって、こんなに徹底的に作品を見るのは初めてで、とても楽しかったです。
なかには私の理解を超えるものもありましたが・・・
作品は、商店街の中や、山奥や畑の中に点在していて、全部で200点以上だそうです。
私は古い民家を利用して展示してある作品が好きでした。
圧倒的な歴史を感じる中で、映像や電気コードなど、現代の製品を駆使して作られた作品に興味をもちました。
この芸術祭には、大学生ボランティアスタッフ「こへび隊」が多く参加・運営していました。
暑い中、ショップの管理や、イベントの運営などをこなしている姿を見て、自分もがんばろうと、いい刺激になりました。
地元の子供たちやお年寄りが、「なんかやってるから手伝おう」的感覚で参加してるのが印象的でした。
あまり関係ないけど、子供たちがきちんと挨拶できていて、好印象でした。
たくさんの人と、この空間、時間を共有できた事は、とてもうれしい事でした。
そして、ripple21のみなさんとお話できて、やっと顔を覚える事ができてよかったです。
実際に集まって話す事が大切だと痛感しました。
ミーティングにはとにかく参加するように仕事しまくります。
ちょっととりとめのない文章になってしましましたが、また何か書きたい事を思い出したら、
投稿します。
●斉藤亜耶子
天気にも恵まれ、トラブルもなく、とても充実したツアーでした。
参加費1万5千円は今の自分にとっては、かなり大きな支出でしたが、思いきって参加してよかったです。
2日間ですっかり日焼けしてしまいました。
短時間でかなり沢山の作品に出会うことができました。
しかしやはり一番贅沢でよい鑑賞の仕方は、1週間くらい時間かけて、気になる
ワークショップにも参加して、気に入った作品をもう一回観て、なんでもないところ
とかもぶらぶら歩いたりする余裕もあって、ていうふうなのだろうなぁ。
かなり体力アンド精神力の有することだとおもいますが。
近年の大規模な現代美術イベントに、横浜トリエンナーレがありましたが全然違いますね。
横浜トリエンナーレは、現代美術の見本市みたいで、ザクザクーと短時間で観れて、楽といえば楽。でも大きな会場のなか作家ごと大きな白い壁で区切られてるのが「私は私、あなたはあなた」と断絶されてるような感じがあり、作品同士のつながりがないに等しい印象を受けました。
今回の妻有は初めて観たのですが、その土地とつながることがテーマになっていて個々の作品の好き嫌いを越えた、展覧会が発する大きなメッセージにちゃんと触れられたかんじがします。
作品はその場所とのコラボレーションとなっているので、その具合のよしあしが
作品のよしあしにつながっていると思いました。
あと、現代美術の作品をこれだけ大量に観れると、自分の好きな作品の傾向が
分かりますねー。
1番好きな作品は、森の木陰の涼しいところに黄色い大きな本棚があって中に本が入ってて、まわりはいすがあって、というもの。
静かで深い感覚にヒューと連れて行ってくれるような、よい作品でした。
?な作品やあまり記憶に残らない作品もいっぱいあるなかでやはり、ひとつかふたつ、その作品を前にして感じた体験がその後の自分の内面、生活を少しかもしれないけど、変えてくれることがあります。そういう体験をすると、やはりお金と時間かかっても、作品みに足運ぶことの大事さを思い知らされます。
こへび隊の方々の、お話も伺えてよかった。
大変刺激になりました。
「ボランティア活動は、人のためではなく自分のために行う」 ボランティアスタッフの方々の、自分が興味あるすすみたいと思っている方向への貪欲さ、真剣さを感じました。
今、学校教育で「生きる力」の育成がうたわれているとおり自分の生きたいとおもっている道を、自力で探して見つけて行動する力は大切です。見習わねば!
トリエンナーレ観るのと同じくらい、貴重で有意義だったのが準備員の皆さんと過ごした時間でした。
メールだけではない!やはりちゃんと顔を合わせて話し合わないとなにも分からない、と強く実感いたしました。
半月後からは、バッチリ夜の話し合いに参加できるよう仕事のシフト調整しましたので、どうぞ、よろしくおねがいいたします。
●佐藤秀美
こんにちは佐藤です。妻有ツアーの感想です。
1.ボランティアの活動について
<こへび隊>
ボランティアグループの名前です。
ネーミングがとても気に入っています。由来は蛇が多い地域だからということ。その土地の特徴が印象づけられるし、地域のお年寄りや子供たちにもなじみ易いのでは無いでしょうか。今思ったのですが、
こへび隊ではない地域の人にこへび隊の印象を聞いてくればよかった。
名前が違うと受け入れ方も違ったかもしれない。
こへび隊の方は大半が都会の若い人という印象を受けました。
実際の数を調べていないのですが、こへび隊の大半は開催地の出身でもなく、
住人でもなさそうでした。
2日目に伺ったベリーハウスの方のお話から「何かしたいのだけど何をしたらいいのか分からないでエネルギーをもてあましている若者がいろいろ模索してやっている」との印象を受けました。
<コミュニケーション>
このトリエンナーレのキーワードは「コミュニケーション」だと思いました。3年前、見に来てくれた人に漬け物やお茶を出してふるまった地元の老夫婦がいらっしゃったとの事です。その数は1万人に達したと聞きましたが、そのご夫婦は本当に喜んでお茶を出し、今回も楽しみにしていたそうです。
アートに関心が無くとも、いろんな人と様々な形でコミュニケーションを取ることが楽しくて地域の人が参加されるのではないかと感じました。
ちょっと21世紀美術館の友の会に当てはめて、以下のことを考えてみました。
・21世紀美術館は常にあり、活動が単調にならないか?
このトリエンナーレは、開催されるのが3年に1度(といっても、まだ2回目です
が)で、期間が決まったイベントのため、集中しやすいのではないか?
・友の会は地元の人が多いのではないか?
実際に友の会募集をしてみないと分からないことですが、地元の人が多いのではないか?
こへび隊のメンバーは主に地元以外の人が一定の期間やって来て活動をしている。
一方、友の会に入会し活動する人は、ほとんどが地元金沢の人で、金沢にいながら活動をするのではないだろうか。
上記2点から、友の会とは異質かなと感じましたが、大いに参考に出来る団体だと思います。参考に出来る点を拾い上げる作業が必要かと思います。
たとえば、離れたところにお住まいの方が友の会に入会する場合、大変参考に
なると思います。離れたところに住んでいても、いろんなイベントを企画、運営、参加して頂けるという友の会は魅力的だと思います。
他、どういう風に参考にするか、ピックアップしていきたいです。
2.妻有トリエンナーレの感想
個々の作品への感想ではなく、催し全体、現代美術に関する感想です。
私は絵は好きでしたが、これまで立体的な現代美術にはあまり興味がありませんでした。
正直いって「分からない」と思って敬遠していました。
今回、いくつかの作品を見て思ったのは、やはり「分からない」でした。でも、この「分からない」というのをいろんな角度から考え、楽しんでいました。何が分からないのか、また、作品の意図って何????分からないことを楽しむって楽しいですね。
日常生活の常識からはずれたことを考えて、なんとなくホッとしました。
今年の6月ころ、開催地の松代付近の国道を車で通ったことがありました。
お恥ずかしい話ですが、そのときトリエンナーレのことを知りませんでした。
もちろん、今年開催されることも、3年前にあったことも知りませんでした。
そのとき、国道沿いにあるいくつかの過去の作品を目にし、「なんか変、ミスマッチで格好悪い」と思っていました。
しかしそれを作ったのが世界的に有名なアーティストだとわかり、見方が変わりました。ここら辺は単純な感覚ではなく、頭で理解しているようで少し残念ですが、やはり、いくらかの知識がないと関心がもてないのかも知れません。
知識に依らずアートに関心をもつ、自分なりの感覚を大事にする、ただ楽しむ、
そういうことをもっと広く定着させたいという考えがあって、友の会準備会、ripple21に応募したのですが・・・。
今後、関心の薄い人でも楽しめるということをもっと考えていきたいと思いました。
みなさんと一言二言でも作品の印象を言い合えたことが刺激になり、非常に楽しかったです。人数分だけ感想があるからおもしろいです。
また感想意外でも何かとお話しできる機会が、あるとそこからいろんなアイディアが生まれる気がします。
どなたが言われたのか忘れてしまって申し訳ないのですが、県内に来る企画展をみんなで見に行くというのはとてもいいと思いました。
●吉本陽子
永田様、引率ご苦労様でした。また、妻有トリエンナーレに参加なさった皆様お疲れ様でした。参加なさった方と運転手さんと 和やかににぎやかに楽しく作品を見て周り、随分心が通い合ったように思います。といいながら、23日の夜は早々と寝てしまい10時からの親睦会に出席できず申し訳ありませんでした。今回参加されなかった皆様ともきっとこの調子で心が通い合って、友の会準備会がスムーズに機能するのではないかと思っています。(これからの美術館の活動に参加できることは 美術を愛し、金沢21世紀美術館をいい物にしたいという思いで集まった約50名の心が合わさって とても刺激的で有意義な時間を共有できるのではないかと楽しみにしています。) ガイドを務めて下さった木田さんの親切で分かりやすい説明を聞きながら、たくさんの作品を見たり、ボランティアの子へび隊の活動についてうかがうことが出来て有意義な二日間でした。現代美術には今まであまり縁がなくて、よく分からないと思っていたのですが、作品に
際に触れることによって、心が開かれたように思います。すべてを理解できたとは思 いませんが、何がどうと言葉ではうまく説明できないけれど、その良さを肌で感じることが出来たように思います。いいガイドさんの説明を受けながら回れたことも作品の良さを理解する上で幸せなことだったと思います。木田さん、本当にお世話になり、ありがとうございました。今すぐ分からないことも時間とともに醸成されて気づくこともあるのではないかと思っています。心を出来るだけ白紙にしていろいろなことを感じてみたいと思っています。他にも好きな作品がいくつかあったのですが、今回見学して特に印象に残った作品について感想を述べて見ます。的を得ているのかどうか分かりませんが、あくまで私の個人的な感想としてお読みください。
《今回の見学で特に印象に残った作品》
*ジェームズ・タレル「光の館」・・・正倉院を思わせる高床式の外観から想像していたものを見事に裏切る とても楽しい発見がいっぱいある作品でした。開閉式の屋根を空けると 刻々と移り変わる空が ガラスの入っていない天井から手に取るように見える座敷や 光ファイバーの間接照明で照らし出される浴室、各所に施されたほのかな間接照明、200vの電磁調理器や食洗機、電子レンジ、ビルトインの冷蔵庫など機能的でありながら伝統的な和の雰囲気を壊さないよう配慮されたキッチン、
フロストガラスの洗面台、現代的でおしゃれな水道栓やトイレットペーパーホルダーなどが違和感なく調和していていいなと思いました。伝統的な和の要素と現代的でとても洗練された設備と間接照明の光が渾然体となって作り出す空間にタレルの感性を感じて 是非泊まってみたいと思いました。満天の星空を部屋に居ながら畳に寝転がって見ることが出来るという思いがけない仕掛けがあって、以前、上高地
に行ったときの満点の星空を見た感激を思い出し、あの星空を是非「光の館」でもう一度体験したいという思いが湧き上がってきました。
*スラシ・クソンウォン「銀の蝶々」・・・電信柱のような高さの支柱に支えられ
たブランコが蝶々のような形をしていて、最初見たときは何てことないと思って見ていたが、ブランコに乗ってこいで見るとものすごい開放感を感じたことが印象に残っています。
*CLIP(日本)「遊歩道整備計画」・・・緑の下草がよく茂り、小川が流れて
いるところもあり、森林浴をしながら緑の中を散策する楽しさがありました。
*カサグランデ&リンターラ建築事務所(フィンランド)「ホスト・インダストリ
アル・メディテーション」・・・遠くから見たときは、錆びた鉄の柵が目に飛び込ん
できて重苦しい感じがしたのですが、実際に中に入ってみると 鉄の柵の重量感と存在感に負けない、周囲が人二人が手を回したくらいある立派な木々が5・6本大きく枝を張り、葉っぱを茂らせていました。ブランコやショベルカーの先端部分などが置いてあり、 川原の石ころと フロストガラスを砕いたものと 白い小石で区分けされた場所を通ると板張りの屋根つき舞台に辿り着き、開放感があって入り口から奥に進むにつれて心が浄化されるような感じがしました。大きく枝を張り、樹齢を重ねた木の存在感が印象的でした。もともとそこに生えていた木を上手に作品に取り込むことに成功していると思いました。
あと、ボランティアの”子へび隊”の活動についてうかがっていて思ったのは、トリエンナーレを楽しむ気持ちが一番だなと思いました。楽しむ気持ちがあって活動するうちに地域のかたがたとの連帯感が出てきて、この連帯感が活動を支えているように感じました。ボランティア活動をすることが義務ではなく喜びになっていることが成功している要因ではないでしょうか。
金沢21世紀美術館も一人一人の美術を愛する気持ち、よりよいものにしようという思いや美術館活動への好奇心や楽しもうとする心が合わさって 後の友の会の活動の原動力になるのではないかと思いました。楽しんでやっている気持ちが回りに伝わって、人を呼び込み、地域を活性化していくことになればいいなと思っています。、この活動をどんどん外に広げていけば、暖かでほっとできる癒しの空間が出来るのではと期待しています。
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